最終更新日:2012年2月3日

食べ歩きオーストラリア

>>アーカイブ  

カテゴリ

アジアン(17)    ヨーロピアン(12)

チャイナタウンで発見! 進化し続けるモダン台湾料理「I TAIWAN」 Sydney China Town

2010年11月10日 7:23 | アジアン

食いしん坊なグチヤマ隊長率いる噂のシドニー食べ歩き隊。今回はチャイナタウンの目抜き通り、Dixon St.の鳥居のすぐ左隣りにあるモダン台湾料理『I TAIWAN』をご紹介しよう。今宵もグチヤマ隊長が美味しさのあまり興奮し、メガネを曇らすほどの逸品に出会うことができるのだろうか。台湾出身の助っ人?雅子隊員?を仲間に加え、チープかつ美味しくイートできるお店を見つけ出す使命を心に掲げ、食べ歩き隊がいざ出陣する。

ここ最近中国本土でも、また日本でも密かにブームを生んでいる台湾料理。香港返還の1997年を皮切りに、シドニーにもたくさんの中華料理屋が続々オープンし、オーストラリアの食のレベルを向上させたのは有名な話だが、それを追うように台湾料理のお店も徐々に登場。今やシドニーでも本場さながらの台湾料理を食べられるお店が増えてきた。

そもそも台湾料理とは福建料理をベースに、客家料理と日本料理の影響をそれぞれ受けながら独自に発展してきたもの。それゆえに醤油やかつおダシを使用した料理も豊富に存在し、淡白で繊細な味付けの料理が多いらしい。「日本人にも馴染みやすい味付けの料理が多いのよ」と台湾出身の雅子隊員は語る。また、香辛料も好んで使用されているのも特徴のひとつ。台湾料理と言えば‘小龍包’を連想する方が多いかもしれないが、実はこれは大きな間違い。シドニー食べ歩き隊でも以前にご紹介した、世界規模でチェーン展開している『ディンタイフォン』の本店が台北にあり、そこの小龍包があまりに有名なのでこのようなイメージがついたというのが通説だ。

チャイナタウンのDixon St.と言えば、‘超’がつくほどのチャイニーズレストラン激戦区。評判の悪いお店はすぐに消えてしまうシビアなこの地に、『I TAIWAN』は2年前に堂々登場した。そしてオープン以来、連日アジア人の若者で日々賑わい繁盛している。1階は少人数でも立ち寄りやすいよう、小さなテーブルが用意され、2階は、ゆったりとスペースを設け大勢向けのテーブルをカーテンで仕切り、個室の空間を演出。照明もやや落とし、ムーディな雰囲気を醸し出している。さすがはオープン2年目ということもあり、店内はとても清潔でモダン。それではこのあたりで気になる料理をご紹介しよう。

一品目はTaiwanese grill chicken fillet($6.50)。鶏のヒレ肉をカラッと揚げ、甘だれと広東特性BBQソースに漬け、グリルした一品。表面のサクサク感に対し、鶏肉がとても柔らかくジューシーに仕上がっている。ふわっと鼻に香る隠し味のコショウと鶏、振りかけられたゴマの相性が良く、備え付けのチリパウダーがほのかにサンショウの香りを漂わせ食欲を誘う。グチヤマ隊長も迷うことなく「これオススメ!」と、一品目からレベルが高く期待が高まる。オススメ

続いて登場したのがSausages skewers ($5.60)。現地台湾では屋台などで広く扱われており、庶民的で大衆に好まれる伝統的なソーセージ料理だ。ぱりっとした皮は薄く、プチンッと噛むと弾けんばかりに詰まった甘い豚肉から肉汁が溢れだし、口の中に広がる。必ず備え付けのニンニクと一緒に食すことをお勧めする。

冒頭で触れた通り台湾料理では香辛料を使う料理も非常に多い。香ばしい香りと共に現れたBasil with pipi ($10.00)は、バジル、チリなどの香辛料とガーリック、たまり醤油のようなドロっとした醤油でピピ貝を甘辛く炒めたもの。香辛料がピピの旨みを存分に引き出しつつ、ショウガがシーフードの生臭さを見事に消している考え抜かれた一品。ピリ辛ソースには、ほんのり香るガーリックとピピの旨み汁が調和し、深いコクを演出している。「うっそ…、これもォ、オススメ」と最近オススメを連発しすぎと突っ込まれ、やや困惑しているグチヤマ隊長も、「でもこれが美味しいんだからしょうがない」と開き直り、太鼓判を押す。オススメ

次にご紹介するのが薬膳の香り漂う台湾では伝統的なスープ、Ginger duck with rice wine($15.80)。クコ、ナツメ、フィグ、ショウガなどの薬味を日本酒のような台湾の白濁酒に入れ、ダックと大胆に切ったキャベツなどと共にゆっくりと煮込む。韓国のサムゲタンに近いと言えばイメージが湧きやすいだろうか。薬味と共にダックのエキス、キャベツの甘みが豊かなコクを醸し出す薬膳スープ。本日応援に駆けつけてくれた雅子隊員も「小さいときから食べている懐かしい味」と絶賛。妊娠している方、また滋養強壮にとても効果的とのこと。時間が経つほどに味が詰まって風味が良くなり、隊員たちもついつい最後までスープを飲みほしてしまう。スープを奪い合う状況を目の当たりにし、文句なしのイチオシを捧げた。イチオシ

Oyster omelets ($11.90)は、半なまに近い新鮮なオイスターをふんだんに使用しフワフワ卵でくるみ、そこに甘辛あんかけで仕上げた料理。オイスターの風味がよく生きており、玉ねぎの甘みと見事に調和する。「とろけるような舌触りがクセになるなあ」と今夜の隊長はどこか饒舌。「海の幸と山の幸のコンビネーションは同じ島国の香りがしてどこか懐かしい」とソムリエK隊員も絶賛した。ここでお口直しにお茶を頼もうとしたA隊員に、雅子隊員からまさかの忠告が入る。なんとも台湾ではお食事中でお茶を飲むという文化は薄く、お水または白湯を頼むのが一般的なのだとか。意外ですね。
オススメ

メインの最後を飾るのはやっぱりグチヤマ隊長の好む麺系、Spicy beef noodle($10.90)。辛く濃い醤油ベースのスープに、ほんのり甘いトマトが香り、シコシコの手打ち麺と良くからみ合う。厚切りにのせられた脂身の乗った牛肉はとても柔らかくスープの旨みをたっぷり含んでいて美味。雅子隊員いわく、「本来台湾では豚肉が中心であり、貴重な動力源である牛を食べる習慣はなかったが、現在台湾では牛肉麺はポピュラーなメニューとして定着している。牛肉を使う料理は、基本的に戦後大陸からもたらされたもの」と言うこと。もし、もともとの伝統的な台湾ヌードルを食したいのであれば、128番のMince pork noodle($8.90)もお勧めする。

伝統的な台湾料理の本質を持ちながら、時代に応じ柔軟に進化し続けているI TAIWAN。雅子隊員のレクチャーのもと、台湾の歴史的文化背景に触れながら食する台湾料理は実に美味しく興味深いものとなった。恋人同士で、または団体でも落ち着いてゆっくりくつろげるI TAIWANを是非一度訪れてみてほしい。


I Taiwan Taiwanese Cuisine
52 Dixon Street Haymarket NSW 2000
02 9212 2220
OPEN 7 DAYS
Sun – Thu 2pm-10pm
Fri, Sat 12pm-10:30pm


ソムリエK隊員のワイン談義

女性を落とす3連発

Catching Thieve, Semillon Sauvignon Blanc 2009, Margaret River ($16)
ルパンの峰 不二子を連想させるようなラベルのCatching Thieve。品の良い甘みがあり、女性向けでスターターとしては最適でしょう。シーフードなどさっぱりとした料理に合います。オススメ

Kissing Point, Chardonnay 2009, Fleurieu Peninsula ($15)
ミドルボディでほどほどに強めに仕上がっています。オイスターやエビなど、シーフードでも濃いめのものと相性が良いでしょう。口当たりがとても飲みやすく、ついついボトルに手が進んでしまいます。


Wirra Wirra Catapult, Shiraz Viognier, 2007, McLaren Vale ($24.99)
マクラーレン・ベールの大手だけに、ミドルレンジから下のレンジの比較的リーズナブルなものに対しても、きちんと良質なものを作っています。優しく、そして味わい深い仕上がりになっています。是非お肉などに合わせてみてください。

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

“伊”と“豪”の溶け合った魅力とは?「Piemonte Cafe Restaurant」 Terry Hills

2010年08月06日 11:02 | ヨーロピアン

「ときには郊外にも進出してみよう」というヤマグチ隊長の鶴の一声でちょっぴり遠出をすることになったこの度の食べ歩き隊。訪れたのは日本人学校の所在地としても知られる、静かで落ち着いた街テリーヒルズ。お花屋さんが並ぶ、その一角に佇むお店で、移民文化のイタリア料理、オージー文化のカフェフードが融合したモダン・オーストラリア料理を味わった。

『Piemonte Cafe Restaurant』は、ヤマグチ隊長が、10年に渡ってオーストラリア首相官邸の料理人を務めているという友人から薦められた、ローカルの人々に愛されるお店。特徴はカフェ風のカジュアルで立ち寄りやすい雰囲気を持つことと、数名のイタリアンシェフが手がけるモダン・オーストラリア料理が供されるということ。オージーの日常に根付いたカフェ・レストランに赴いた食べ歩き隊が「あーでもない、こーでもない」と食を語り合った。

一品目は、さわやかにCaeser salad with Chicken($18)。シャキシャキのフレッシュなレタスに、マヨネーズを基調にしたドレッシングとパルメザンチーズがコクと風味を加える。サクサクとした歯応えが心地よいクルトン(サイコロ状のパン)はもちろん外せない大事な脇役。惜しみなく盛り付けられたチキンは、サラダというよりは“チキン料理”と呼びたくなるほどの大胆な存在感を示している。日本でも人気の高いこのシーザーサラダ。意外なようだが伝統的なイタリア料理ではなく、1920年代にアメリカとメキシコの国境にある町で生まれた“新しいイタリア料理”。モダン料理のくくりにふさわしいこの品は、前菜でありながら見事にオススメを獲得した。

イタリアンに魅せられた男、我らがヤマグチ隊長はとにかくパスタにうるさい。「待ちきれん」とばかりに2品目にしてSpaghetti Marinara($27)をオーダーした。隊長がことあるごとに物申しているのが、オージーの麺の固さに対する意識の低さ。“アルデンテ”に絶対的なこだわりを持つ隊長は、麺にきちんと芯を残すようウェイトスタッフに訴える。果たしてやってきたマリナーラは、バラマンディ、イカ、エビ、ムール貝などの具材がたっぷりと用いられ、味はトマトの甘みとチリの辛みが特徴的な仕上がり。隊長に言わせれば、「チリカラ」であるというピリッとくる辛みは、刺激的に食欲を増進してくる。ただ、肝心の麺はというと決してアルデンテとは言えないやわらかめのもの。念を入れてもこの出来だということは、普段どのぐらいやわらかい麺になっているかということがわかるはず。麺にコシがほしいと感じる方は、どうか口を酸っぱくしてアルデンテの重要性を訴えてほしい。

お次は、ヨーロッパでは数少ない貴重な米料理である、Risotto with chicken, salami and tomato($22)を賞味。チキン、トマト、スピナッチ、そしてイタリア発祥であるサラミなど、具材をたっぷりと使ったリゾットは食べ応え十分で、隊長に「お米が見えないくらいに具だくさんだよ!」とリップサービスさせてしまうほど。軽く添えられたチリの風味とやさしいクリームの味わいは、マイルドな旨みとともにお米を口へと送り出す。やはりここでもお米はアルデンテ仕様ではなかったのだが、今度は隊員たちから「お米に芯が残ってなくて、やわらかく仕上がっているのがいい」という声が続出。お米に関しては芯まで火が通っていないと生煮えであるかのような違和感が残ってしまうようだ。こうして今度は一転、アルデンテではないリゾットがオススメに。食べ歩き隊のツボはいつまで経ってもよくわからない・・・。(注)リゾットの種類は毎日変更になります。

Seafood Trio($28)は、当店のシグネチャーディッシュ。当店自慢の逸品だけあって、エビとバラマンディのグリル、イカのフライ、さらにはたっぷりと盛り付けられたサラダまで揃った迫力満点の内容だ。エビとバラマンディは、白ワインとオリーブオイルでグリルされ、イカのフライはシーソルト、レモンペッパーであっさりと仕上げられている。それぞれの食材がとても新鮮で、火の通しもまた絶妙。ホームメイドのタルタルソースがこれらのシーフードと最高の相性を見せることは言うまでもない。脇役のように佇むサラダにも、イタリア人の好きなロケットに、オージーの好きなアボカドまで混ざり、それらをバルサミコでいただくというきちんとした仕事ぶりがうかがえる。なんとも満足度の高いこのシグネチャーな品は、有無を言わせぬ迫力でイチオシの座を射止めた。


本日の甘味はイタリアの代表的デザートのひとつであるSemifredo($7.90)。“Semi-Frozen”という意味を持つこの品は、要するに“半冷凍”状態になっており、凍ってしまいそうな生クリームと、とろけてしまいそうなアイスクリームを同時に味わえるという粋なお菓子である。アイスクリームには、チョコチップとアプリコットが加えられていて、ビターながらも香り高い“大人の味”が演出されている。他にもタルト、ティラミス、クリーム・ブリュレなどたくさんのデザートが用意されているので、素敵な時間をスウィートに締めていただきたい。

閑静な町テリーヒルズに佇む、『Piemonte Cafe Restaurant』。シティからは40分ほど車を走らせる必要があるが、たまのリトル・エスケープには持ってこいと言えるのではないだろうか。10ドル未満に設定されたキッズメニューも用意され、またチェンジングルーム、プレイグラウンドも完備されていることから、家族連れにも理想的なくつろぎの時間を与えてくれるはず。カフェ感覚で、カジュアルに立ち寄れるレストランなので、気取らずにゆったりと過ごしてほしい。営業は日中がメインで、ディナーは週末のみとなっているので、訪れるときにはご注意を。


Piemonte Cafe Restaurant
287 Mona Vale Rd, Terry Hills, NSW
Tel:02 9486 3677
Lunch: 8am - 5pm (7 DAYS)
Dinner:6pm – 10pm (Fri & Sat)
www.piemonte.com.au

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

新イタリア人街・ファイブドックで見つけた名店「tipico」 Five Dock

2010年02月02日 17:38 | ヨーロピアン

この度、食べ歩き隊が訪れたのはファイブドックにあるイタリアン・レストラン。ヤマグチ隊長がイタリアの友人から勧められたというお店である。その飾り気のない素朴な佇まいを見て、隊員たちの期待度は“中”といったところ。しかし、そこに待ち受けていたのは、全隊員の予想をいい意味で大きく裏切る名店との出会いであった。

今回はヤマグチ隊長の友人であり、イタリア総領事館の領事であるという方からの推薦でファイブドックへとやってきた。イタリア人街といえばライカートがその代名詞であったが、肝心のイタリア人はハーバーフィールド、そしてファイブドックへと移り住んでおり、現在最もイタリア人が多く住むのはここファイブドックであるという。イタリアン・レストラン自体はこの界隈にまだ3件しかないとのことだが、イタ飯好きにとっては今後注目すべき街といえるだろう。そんなファイブドックで3年前にオープンしたのが『tipico』。当店のオーナー、シェフ、ピザ職人たちは10年以上前からライカートなどで一緒にレストラン経営をしてきたファミリーのような間柄。そんな陽気なイタリア人たちはこの日、メニューには載っていない“裏メニュー”を3品も紹介してくれることになる。しかし、目が肥えているはずの隊員たちが入店時に思っていたのは、失礼にも「この店、なんか地味…」というものであった…。

この日の品目のチョイスはオーナーであるマークさんが「俺に任せておけ!」と自ら引き受け、裏メニューを交えながら、コース料理のように見事なバランスで並べてくれた。最初の品は、Calamari&moscardini alla griglia ($17.50)。イカとベビーオクトパスをオリーブオイル、レモンジュースで炒めて、塩コショーを振っただけのシンプルな料理なのだが、この品を口にした瞬間に隊員たちの表情は一変することとなった。魚介の半透明の身は、みずみずしく、しっとりとしながら不思議なまでにやわらかいのである。初めての食感と言っても言い過ぎではないこの歯触りに、隊員たちは素直に驚きを表す。炒める前に魚介をマリネするのがこのやわらかさの秘訣とのことだが、それ以上の細かいレシピは企業秘密だということで判明せず。何であれ、当レストランの持つポテンシャルを早くも、そして確実に嗅ぎつけた隊長は、「ハーバーフィールド以外にもこの私がわざわざ足を延ばす価値のあるイタリアンが存在するのかもね」と、鋭い目つきでいきなりのオススメ宣言をした。 オススメ


続いてのアントレは、Nannata alla griglia ($16.50)。ナナータは、隊長が現地を訪れた際に食べて惚れこんだ料理であり、現在では自らも自宅で調理することがあるというイタリアの軽食。隊長の認識では揚げたものというイメージが強かったナナータだが、当店ではグリルしたものを提供している。揚げた場合のサクサク感がない代わりに、当店のナナータはしっとりとして、なめらかな食感を持ち、たっぷりと用いられた白魚を全体がオムレツのようにふわっと包みこんでいる。小麦、卵のほかに、隠し味でパルメザンチーズを加えていることから、口当たりは実になめらかでまろやか。薄味で素朴な味つけながら、舌の上でとろけて広がるソフトな旨みを感じれば、それ以上に欲すべくものは他になく、隊員たちもそれぞれ無言で悦に入っている。唯一聞けたのは、隊長が唸るように小さく洩らした「オススメ」という言葉であった。そしてこの頃には隊員たちも、紛うことなき超オススメ・レストランとの出会いを確信していたのであった。 イチオシ

メインであるピザの前にお目見えしたのはパスタ、Linguini vongole ($19.00)。アサリをたっぷりと用いたリングイーニ(パスタの一種)のボンゴレである。隊長の持論では、ピザの美味しいお店ではパスタはイマイチ、もっと言えばマズイということになっている。ピザ専門店的な側面を持つお店の場合、必然的にその傾向が強くなってしまうのは事実であろう。当店もまたその看板に“Pizzeria(ピザ屋)”と掲げており、隊長の顔には不安が見て取れたが、その先入観は簡単に吹き飛ばされることとなった。茹で置きのパスタを出す店も多いが、当店ではオーダーを受けてから茹で始め、しっかりと芯の通ったアルデンテを提供。味も白ワイン、ガーリック、オリーブオイルなどによるシンプルな調理と、新鮮なアサリから染み出た旨みにより、さっぱりとしながらコクのある仕上がりになっている。パスタだけで勝負しても一級線であることが証明され、当店の懐の深さを見せつけられた形だ。良質なアサリを厳選していることから、この品の提供は仕入れ状況に左右されてしまうとのことで、メニューには載っていない。70%の確率で用意できるとのことなので、訪れた際にスタッフに尋ねてみてほしい。

満を持しての登場となったのはPizza Prosciutto ($19.00)。リーズナブルな値段ながら、XLサイズの大きさで迫力満点だ。そしてもちろん、さらに驚くべきはその質である。ローマ・スタイルの薄い生地は、驚くほどにクリスピーでサクサク。それだけでも美味しく食べられそうな生地に、イタリア産のプロシュット(生ハム)、パルメザンチーズ、ロケットが所狭しと載せられている。肉の深い旨み、チーズの香り、ロケットの心地よい苦味が複雑に絡み合いながらも、口に残るのはやはり上品でやさしい風味。ピザ通の隊長も文句のつけようがないレベルの高さだ。続けて運ばれて来たのは包みピザ、Calzone ($18.00)。イタリア人がシドニーに持ち込み、徐々に浸透してきているという目新しいこのピザ、カルツォーネはハム、モッツアレラチーズ、トマトを生地で包み、釜で焼き上げたもの。ナイフを入れると、生地の中にたっぷりと詰まったモッツアレラがとろけるように溢れ出す。そのあっさりとしてどこまでも軽い味わいゆえに、すでに満腹であるはずの隊員たちも、まだまだいけるといった具合にすぐに平らげてしまった。「余計なことはせずシンプルに、それでいて素材を最大限に活かす。イタリアンの真髄のすべてがここのピザにありますよぉ!」と手放しで称賛する隊長と、「満腹なはずなのに完食してしまう、これは奇跡のピザですよぉ!」と興奮気味に絶賛するソムリエK隊員。2品ともこれまでに高まり続けていた期待度のさらに上を行く本物のイタリアン・ピザであった。
カルツォーネ・オススメ

デザートとして供された2品は、どちらも正規のメニューには載っていない裏メニュー。Pizza Nutella ($13)はオーストラリアでもおなじみのイタリア産チョコスプレッド、ナテラを載せたデザートピザ。オーナーのマークさんいわく、オージー製よりもずっと風味が豊かであるというイタリア直輸入のナテラは、ふっくらとパンケーキ風に焼かれたもちもちのピザ生地との相性が抜群。イタリアの家庭風のお菓子をぜひ一度味わってみてほしい。本日の充実したラインナップを締めるのは、最後にほっと落ち着かせてくれるコーヒー、Affogato ($5)。アフォガートは、コク深いイタリア式のエスプレッソにバニラジェラートを加えた大人のデザートであり、現地で体験した味を忘れられない隊長が日々恋しく思っている品である。ジェラートのまろやかな甘みとエスプレッソのほどよい苦味が溶け合い、心にじわんとやさしく沁みる。隊長も「シドニーで食べるアフォガートには失望することが多いんだけど、これは本場のやつにまったく遜色ないね」と太鼓判を押す。と同時に「今回は本当に全部がオススメ、選抜するなんて無理だよぉ」と贅沢な悩みを打ち明けた隊長であった。

思いがけず素敵なお店と出会った今回の食べ歩きは、いつも以上の盛り上がりを見せた。お腹いっぱい食べたはずなのに、帰りしなにピザをテイクアウェイする隊員が続出したという事実からもその余韻が感じられる。ピザボックスを片手に帰路へとつきながら、「何を食べても美味しかった、全部試さなきゃ損」「高くて美味いのは普通のこと、安くて美味しいからこそ価値がある」など思い思いの声が上がる。シドニーのメジャーなグルメサイトやガイドブックからまだあまり注目されていないという当店は、まさに隠れた名店。「こういうお店を発掘するのが我々チアーズ食べ歩き隊の使命であり、醍醐味ですよぉ」と話す隊長も誇らしげだ。裏メニューの存在も多い当店だが、この誌面を持って赴けばオーダーも容易なはず。そして隊員たちを感動させた素晴らしい品々を堪能してみてほしい。

ヤマグチ隊長のちょっといい話
取材中、ふらりと厨房に赴き、イタリア人が認める本場のオリーブオイルのお話を伺いました。それによると「BERTOLLI」「POMILA」「LEVANTE」という銘柄がオススメであるとのこと。Harris Market等で購入できるということなので、ぜひ皆様も本場イタリア〜ンの品質を試してみてください。

tipico
86 Great north road
02 9713 5122
ランチ 火〜金12pm-3pm
ディナー 火〜日6pm-10pm
要予約(金、土)
BYO、$3 per bottle
アクセス:George St-Winyard前スタンドより437、438のバスに乗車し、Five dock shopsで下車。所要時間約30分。


ソムリエK隊員のワイン談義

Benforlds
Thomas Hyland
Cool Climate Chardonnay 2008
SA
$19.00
環境にこだわり、寒冷な気候で作られたシャルドネですので、爽やかでなめらかな口当たりが特徴です。南イタリアのシーフード料理によく合うでしょう。

Red Hill Estate
Mornington Peninsula
Pinot Noir 2007
VIC
$24
ヴィクトリア州にある半島で作られたピノ・ノアールです。ライトな印象ですがしっかりとボディもあり、チーズやオリーブとの相性が良いですね。

Grant Burge
Barossa Valley
Miamba Shiraz 2008
SA
$17.00
美味しいシラーズを産むバロッサ・バレーの中でも、ミアンバというシングル・ヴィンヤードだけで作られた貴重なワインです。葡萄自体の質の高さを感じます。

購入場所:BWS / 100 Great north road Five dock

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

ポーランド料理に感じる欧州の旅情「Na Zdrowie」 Glebe

2010年01月06日 12:44 | ヨーロピアン

2010年最初の食べ歩き、そのテーマに選ばれたのはポーランド料理。日本人にとって馴染みのあるものではなく、ここシドニーにおいても味わう機会の少ない料理だが、果たしてそのお味のほどは? 食べ歩き隊は快調な滑り出しを見せてくれたのか?

シティからのアクセスも容易で、素敵なお店が多く並ぶことから、休日を過ごす街として人気のグリーブ。食べ歩き隊の目的地は、そんな洒落た街グリーブで3年前に開店したポーランド料理店『Na Zdrowie』であった。こじんまりとしながら、レンガと木材に装われた伝統的な造りの店内は、ヨーロッパの街でふらりとレストランに立ち寄ったかのような旅情を与えてくれる。店名にポーランド語で「乾杯(On Health)」を意味するご機嫌な名前を戴くこのお店で、貴重なポーランド料理との出会いを満喫する。

本日のアントレとして、食べ歩き隊がオーダーしたのは、Wedliny ($14.90)。ポーランドの名産であるシンカ(ハム)とキュウバーサ(ソーセージ)のセットである。スモークされた肉はまったく臭みがなく、代わりに深い薫りを口の中に広げる。薄味でさっぱりとした味わいは、ホース・ラディッシュ(西洋ワサビ)を用いたソースの爽やかさと一緒になって、夏らしいフレッシュな印象を残す。寒冷地の加工肉ということで塩辛さを覚悟していた隊員たちは、いい意味での肩透かしを受けたようで、その明るい表情から好印象が伝わってくる。日本ではあまり浸透していないが、欧米においては名の通った特産品であるポーランドのハム&ソーセージをぜひ一度試してみてほしい。

2品目は、ポーランドやドイツで日常的に食べられる国民食であるザワークラウトのシチュー、Bigos ($19.60)。乳酸菌とビタミンをたっぷり含む健康食品としても知られるザワークラウトを豚肉、ソーセージ、マッシュルームなどと一緒にじっくりと煮込んで出来上がるこの一品。ザワークラウトの持つ自然な酸味と具材が溶け合い、温かい旨みがたっぷりと滲み出ている。ここでもやはり印象的なのは、さっぱりとした優しい味わい。それは東欧料理ということで、何となく塩辛いものを頭に描いていた隊員たちの先入観とは一致しないものであった。しかしこの相違、実は偶然ではなく、中東欧の他地域のものに比べて薄味なことで知られるポーランド料理ゆえの必然。ポーランド料理はヨーロッパにおいて、日本の京都のような位置を占める存在なのである。じんわりと日本人の心に沁みるような味わいを持つポーランドの煮込み料理は、全隊員からオススメの推薦を受けた。 オススメ

続いてはポーランドの伝統料理であり、東欧を中心にヨーロッパで広く食べられるPierogi ($19.90)を賞味。具を詰めたダンプリングを揚げた(あるいは茹でた)ものであり、見た目から何からいわゆる“餃子”そのものと言った趣きだ。ポーランドのピエロギの特徴は具として肉、野菜、チーズから果物まで多種多様な素材を用いること。当店のメニューにも数種のピエロギが並んでいるのだが、ここでも欲張りな食べ歩き隊は、便利なミックスセットを選択。テーブルに運ばれてきたのは、それぞれポーク、ザワークラウト、フレッシュチーズを具にしたピエロギと、3種のソース(マッシュルーム、サワークリーム、トマト)。カラッと揚がった衣は軽くしつこくなく、それぞれの具、ソースとともに多彩なコンビネーションを味あわせてくれる。隊員たちの間で一番人気だったのは、フレッシュチーズのピエロギ。あっさりとしたチーズのやさしい美味さが大好評で、隊長も「見た目は餃子だけど、中にはやはり紛うことなきヨーロッパ世界が広がっていますよぉ!」と大絶賛。オススメ中のオススメ、「イチオシ」の称号が与えられた。
イチオシ

Golabki ($20.90)は、ポーランド式のロールキャベツ。フレンチにも劣らぬ流麗な盛り付けに、パリ在住の経歴を持つ隊長も思わず、「プレゼンテーションいいねぇ」と漏らす。よく煮込まれたキャベツは口の中でとろけていくほどにやわらかく、ハンバーグ状の具はしっとりとしてやわらかな旨みをたっぷりと含んでいる。具の合い挽きは豚肉、牛肉のほかにライスも一緒に練りこまれており、それが特有の滑らかな食感を生み出す秘訣となっているようだ。第8の公募ワーキングホリデー隊員・カナコさんは、「日本で食べるものよりトマトソースがさっぱりとしていて、何か新しい感覚で楽しめますね」と本日のフェイバリットにこの品をピックアップ。東欧風のインテリアにもよくマッチする当ロールキャベツは、ぜひ注文しておきたい一品だ。

メインディッシュとなるのは、まさに最後を飾るにふさわしい佇まいを見せるロースト・ダック、Kaczka ($27.90)。お腹の部分にリンゴを詰めた上で、オーブンで2時間かけてローストされたダックは、絶妙な火の通りによって香ばしく焼きあがり、また中の身はとてもジューシーで、瑞々しい旨みを内に充満させている。リンゴの酸味と甘みにより、やわらかく調理され、やさしく風味付けされた身は、あっさりしながら、とても豊かで深いコクを持つ。脂っこさがない分、皮から肉までまるごとすべて堪能できるのも嬉しい。また、日本人にとって新食感とも言えるモチモチさが衝撃的な添いつけのポテト・ダンプリング(Kopytka)も脇役に納まらない魅力を持っており、こちらも単品での追加オーダーが必要となるほど。組み合わまで完璧なこの一皿には、大満足のオススメ・コールが続いた。 オススメ

ポーランド人はスウィーツも大好き。この日はポーランド式チーズケーキ、Sernik ($9.50)とポーランド式パンケーキ、Placuszki nalesnikowe($12.90)を堪能した。フレッシュチーズと卵をたっぷりと使用したチーズケーキは、表面がこんがりサクサクと焼かれ、中はスフレのように軽い食感で、且つしっとり。控えめの甘さがなんとも嬉しい。パンケーキは角切りのリンゴをふんだんに使った、素朴ながらも家庭的で温かい味わい。隊長も「おばあちゃんの作ってくれるお菓子って感じだね。こういう味って探すと意外とないもんなんだよねぇ」と話し、ホッと癒され顔だ。アイスクリームまで付いたこの2品のやさしい甘さで、皆さんも至福のやすらぎ感に包まれてみてはどうだろうか?

のっけから幸先の良いスタートを切った食べ歩き隊。隊長の「2010年、来てるねぇ」という予言めいた言葉を聞く限り、今年も食べ歩き隊の珍道中は安泰そうである。歴史上、多様な民族の流入があったポーランドには多様で豊かな食文化が存在する。紹介し切れなかったが、スープ、魚料理、サラダなど、魅力的な料理がたくさんあるので、あなた自身の嗜好と直感で他の品も試してみてほしい。実は大がつくほどの親日国としても知られるポーランド。素晴らしい食と文化との貴重な巡り合いを見過ごす手はない。平日の夜にも満席なほどの人気店なので、予約は忘れずに。


公募隊員の感想
私にとって未知の世界であったポーリッシュ・レストランは、お洒落でかわいいザ・ヨーロッパでした。料理はどれもあっさりで、何だか懐かしい気持ちになる“家庭料理”という感じ。印象的だったのは、メイド・イン・ポーランドの食器やハーブティーを使用するというこだわり。ヤマグチ隊長がたまに飛ばすオヤジギャグをも暖かく包んでくれる、優しい味と空間でした。

Na Zdrowie
161 Glebe Point Road Glebe
02 9660 1242
www.nazdrowie.com.au
6pm? 7days
アクセス:George St - QVB前スタンドより、431、432、433のバスに乗車し、St Johns Rdで下車。所要時間約20分。

ソムリエK隊員のワイン談義
Ritual
Viognier
2006
WA
$14.00
廉価な一本ながら、ただ甘く飲み易いだけでは決してなく、フルーティで実に品があります。非常にコスト・パフォーマンスの高いヴィオニエですね。

Farmer's Daughter
Rose
2008
Mudgee, NSW
$20.00
暑いこの時期には、冷やしてキリッとしたロゼがよく似合います。美味しい赤ワインを産出するMudgeeのものだけあり、しっかりとした飲み口があって良いですね。

Le Colombier
Classic
2005
France
$22.00
強すぎず、弱すぎず、絶妙な味わいが「Na Zdrowie」のさっぱりとした肉料理に最適でした。わずかに22ドルという値段で味わえる本物の良質なフレンチ・ワインです。

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

モダン・タイで大切なひとときを「Papaya」 Cammeray

2009年12月07日 9:55 | アジアン

2009年の締めとしてヤマグチ隊長がチョイスしたのはタイ料理であった。訪れたのはノースのCammerayという街にひっそりと佇みながらも、絶大な支持を受ける人気店である『Papaya』。シドニーに数多くあるタイレストランの中でも一際輝きを放つ、オススメなお店との出会いとなった。

ヤマグチ隊長によると、シドニーにおけるタイ料理の歴史は25年ほどであるという。サリーヒルズに最初のタイレストランが開店したのを皮切りに、その後は瞬く間に大発展を遂げ、現在では“シドニーで最も多いレストラン”と言われるほどに誰からも愛され、なくてはならない存在となった。Papayaの店内は、ほの暗さの中にシックなライティングとキャンドルの光が映え、その広々とした空間にはエレガントさとオリエンタルな爽涼さが漂っている。まるで日常を遮断するようなやさしい心地よさを与えてくれるようだ。

一品目の前菜として運ばれてきたのは、TOD MON KOONG ($8.9)。タイ式の薩摩揚げ、あるいはタイ式コロッケといった佇まいのすり身の揚げものである。白身魚を揚げたものが一般的だが、この品はクン(エビ)のすり身を使用。表面はサクサクに揚げられ、ふんだんに用いられたエビの旨みを包み込んでいる。あえて粗くすられたエビの身は、それゆえにプリプリとした食感をそのままに残し、口の中で弾けるように躍る。第6の公募ワーキングホリデー隊員・タツヤさんは、「エビの身と一緒に練りこまれた香草がとてもよい風味を出し、また添いつけのプラムソースの酸味ともよく合いますね!」と若さいっぱいにコメント。暑い季節にビールとの相性最高であろうオススメ品の発見となった。 GREAT
お次の前菜は品のある麗しさを見せる、MIANGKUM TUNA ($12.9)。やさしく火の通ったツナのフレーク、ココナッツの実、とびこをBetel(熱帯アジア産、コショウ科)の葉で包んでいただく。さっぱりとしたツナの風味、ココナッツのほのかな甘み、とびこのプチプチとした食感、それにくせのないBetelの葉のシャキシャキとした音が加わり、香りと食感の宝庫といえる多彩な魅力を一度に味あわせてくれる。オニオン、キュウリ、ピーナッツをレモンジュースに加えた爽やかなソースにつければ、風味は無限の広がりを見せる。食すものに笑顔を与え、メイン料理への期待を膨らませてくれる、そんな前菜の鏡のような一品だ。

SOM TUM ($20.9)は、タイ東北部イーサン地方にルーツを持つパパイヤ・サラダ。熟していない青いパパイヤの実を千切りにしたものを、香辛料、干しエビ、トマト、ピーナッツなどと和え、臼で叩いて全体に味をなじませるというタイ特有のサラダである。未熟なパパイヤの実は新鮮な香りとコリコリとした歯応えを持ち、あっさりとした風味がなんとも心地よい。また、パパイヤの滑らかな食感は、干しエビや香辛料から滲み出た良い意味での癖を持つ旨みを口に運ぶ。サクっと揚げられたソフトシェルクラブに、イーサン地方で好んで食べられる餅米までもがともに供され、サラダと呼ぶにはあまりに満足度の高いこの品。隊長が怖いほどに目をギラつかせ、「これ、オススメ」とつぶやいたのも当然のことであった。GREAT

大きなスキャンピがすぐに目に飛びこむ印象的なヴィジュアルで隊員たちの心を掴んだのは、PAD CHA TALAY ($26.9)。スキャンピのほか、大振りのエビ、白身魚(リングフィッシュ)、ホタテ、イカ、ムール貝などのシーフードをたっぷりと贅沢に用いた炒め物である。ライム、レモングラス、バジル、ガーリック、チリなどを組み合わせたスパイス・ソースが、シーフード自体から溢れ出た濃厚な旨みと混ざり合い、複雑で奥深い味を創出している。なにより際立つのは、シーフードの具材ひとつ一つに見られる生き生きとした存在感だ。それをグルメ大好き女性隊員Rは、「食材への火の通し方が絶妙ですよね。決して火を入れ過ぎない。それによって風味も歯応えもきちんと残し、濃厚なソースの味に埋もれることなく素材そのものを堪能させてくれる」と説明する。「わかってはいても、それがなかなかできないんだよなぁ」と横で聞いていた隊長をも唸らせたこのシーフード・ステアフライは、満場一致でオススメの認定を受けた。GREAT
最もよく知られているタイ料理のひとつであるタイ式焼きそば、パッタイ。当店では焼いた卵の薄皮で全体を包むというモダンスタイルのパッタイ、PAD THAI HOR KA-EI ($19.9)を提供していることを知り、物は試しと早速オーダー。新鮮なエビ、やわらかいチキン、もやしなどの具とともに炒められたシコシコの麺は甘く香ばしい匂いを漂わせ、卵焼きはパリパリとした軽い食感とマイルドな味わいを演出している。90年代にタイ本国で始まったというこのスタイルは、“タイ式オム焼きそば”とでも呼べそうな新世代のパッタイ。伝統的なタイ料理に、新しくオリジナルな発想も積極的に取り入れる当店ならではの、お洒落で美味しい創作料理である。

2009年を締め括るのは、パイナップルを器にした華やかなレッドカレー、KAENG PHED PED TANG ($21.9)。じわっと効いてくる辛さが徐々に体に広がり、夏という季節に心地の良い汗をかかせる。具材として用いられたパイナップル、ライチ、チェリートマトのフルーティな甘みや酸味は、レッドカレー特有の辛さをやさしくほどよい刺激へと変えつつ喉をすべり落ちていく。またダックの野性的な味は、全体に奥深いコクを与え、濃厚な旨みを醸し出している。第7の公募ワーキングホリデー隊員・トモコさんは、「とにかくどのメニューにもはずれのないのが驚きです。 盛り付けなども含めたプレゼンテーションの仕方もとても雰囲気があって良いですね!」と感動とともに当店の印象を語ってくれた。一方、レギュラー隊員たちはカレーを食べ終えると今度は器であるパイナップルの果肉をスプーンでかき集め始める。それを口に運ぶと、「うん、甘くて酸っぱい!」と至極当然なことを言いながら、今年最後のオススメ宣言をした隊長であった。GREAT

Papayaでは宮廷式の洗練されたもの料理から、新しいレシピを取り入れたモダン・タイまで、幅広いレンジでメニューが取り揃えられている。それ故にお客ごとに変わってくる多様なニーズにも、柔軟に対応してくれる。友人たちとの会食に最適なのはもちろん、クリスマスシーズンの食事にもきっと素敵な場と時間を与えてくれるはずだ。予約がないと席が取れないほどの人気店なので、事前の確認は忘れないように注意していただきたい。また、Cremorne(307-309 Military Road)にも同店のブランチがあるので、もしも予約でいっぱいな場合はそちらもチェックしてみてほしい。

Papaya Thai Restaurant Cammeray
Shop 3, 506-508 Miller St Cammeray
02 9922 1234 or 02 9922 1233
www.papayathai.com.au
5pm-10:30pm 7days
BYO
Wynyard-York St Standより201、204、205、206のバスに乗車、Cammeray Shopsで下車。


ソムリエK隊員のワイン談義

Sparkling Wine
Yarra Burn
Premium Cuvee
Brut VIC
$17.80
シャルドネ等、白ワインの美味しいヤラバレー産のスパークリングワインだけあって実に質が高いですね。クリスマスに是非どうぞ。

Kim Crawford
Pinot Gris
2007
New Zealand
$21.10
軽くて飲みやすく、その上でドライな味わいを持っているのでシーフードに最適です。特にエビ類とはよく合うでしょう。

Wolf Blass
Shiraz Viognier
2008
Grampians
$18.90
赤のシラーズに5%ほどの白(ヴィオニエ)を混ぜることで軽さが演出されています。女性にもオススメの赤ワインですね。

購入場所:BEER WINE SPIRITS
441 Miller St Cammeray


2009年度 シドニー食べ歩き大賞

ベスト・アジアン賞
SULTAN`S TABLE
エンモアという刺激的な街において、中近東の魅惑の味を存分に堪能させてくれる。実は日本人が思う以上に奥の深い各種ケバブを味わっていただきたい。
179 Enmore Road, Enmore
02 9557 0229

ベスト・ヨーロピアン賞
NAPOLI IN BOCCA
ヤマグチ隊長をして“シドニー1のピザ”と言わしめた当店のピザは、極上のチーズが用いられており、まさに絶品。常に満席なので予約をお忘れなく。
73 Dalhousie St, Haberfield
02 9798 4096

ベスト・コストパフォーマンス賞
NEW SHANGHAI(新上海)
レントが高いと言われるチャッツウッドにおいて、アッシュフィールド店と同じ価格での料理を提供する、まさに安くて美味しい中華料理店。
Shop 20, 427-441 Victoria Avenue, Chatswood
02 9415 3536

デザート賞
Chat Thai
ココナッツミルクにタイ式のお団子を入れたものやマンゴーを餅米と組み合わせたものなどアジアン・スウィーツが大充実。テイクアウェイでの利用もオススメ!
20 Campbell St, Haymarket
02 9211 1808

ワイン大賞
白ワイン
Logan Weemala Pinot Gris 2008

赤ワイン
Angus Cabernet Sauvignon Southeastern Australia 2007

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

ノースでスリランカの味を探る「KAMMADHENU」 Neutral Bay

2009年10月01日 17:17 | アジアン

今年になってニュートラルベイに進出してきたインド・スリランカ料理店が大変な人気を呼んでいるという。そんな噂を聞きつけたヤマグチ隊長は早速、調査を開始。食べ歩き隊員を引き連れ、現地へと向かった。凡百のカレー屋とはひと味もふた味も違うという話題のお店の全貌が今、明らかになる。

「KAMMADHENU」は、南インド出身のオーナーが3年前にニュータウンで第1号店を開店して以来、1年ごとに新店を開店し、第3号店として今年1月にニュートラルベイへと進出してきたものだ。紹介してくれたのは、隊長からの連絡を受けたニュートラルベイ在住の健康スペシャリスト・H隊員。実際にこのお店の常連であるH隊員に言わせれば、“安くて、美味しい”メニューを取り揃える当店は食べ歩きセレクションには最適であり、さらにMSGは使用せず、新鮮な食材やフレッシュスパイスを厳選していることから、“健康”というキーワードまでも加えてくれるものだという。ホールやキッチンはとても清潔に保たれており、一部のアジアン・レストランに見られるベタベタ汚れなどとは一切無縁である。そして肝心の料理のほうは、インド訪問歴が実に5回という自称インド通、我らがヤマグチ隊長が詳しく解説してくれる!…はずである。

いきなり迫力のある一品、Masala Dosai ($8.00)が隊員たちのテーブルに運ばれてきた。インドの代表的な軽食であるドーサは、ペースト状にして発酵させた米をクレープのように薄く延ばして焼いたもの。カレー、スパイスを練りこんだたっぷりのマッシュポテトを、薄いドーサで綺麗に包みこんでいる。期待を裏切ることのないサクサク感を持つドーサを突き破ると、中からホクホクのポテトが顔を出す。そのままでも優しい味わいは十分に魅力的なのだが、チリとミントの各ヨーグルトソース、またはカレーソースを用いることで、多彩な味を楽しむこともできる。隊員たちのお気に入りだったのは、ミントのヨーグルトソース。爽やかな香りを広げ、カレーの風味と素晴らしい相性を見せてくれる。さっそく隊長の口から、爽快な息とともに、オススメの言葉が飛び出した。Great

Chicken Tikka ($8)は、スターターとして、またビールのお供に最適な一品。表面が赤く焼き上げられていて、見た目からはよく知られているタンドリーチキンを連想させる。事実、鶏肉をヨーグルト、香辛料にマリネし、タンドールと呼ばれるインド式の窯で焼くという調理法はまったく一緒。基本的に骨付きの鶏肉を用いるのがタンドリー、骨のない鶏肉で調理するのがティッカ(小片の意)であるという。表面は香ばしく焼き上げられ、中はとってもジューシー。ヨーグルトにミント、キューカンバを加えたソースがそこになめらかさを添える。いつになく隊員たちのビールが進んだのは言うまでもない。

「せっかくだから食べる機会の少ないスリランカの料理を味わってみよう!」という隊長の号令に基づき、オーダーされたのはスリランカで軽食として、またライスの代わりとして食されるPlain Hopper ($4.00) & Egg Hopper ($3.00)。米粉にココナッツミルクを練りこみ発酵させてから薄く焼き上げる、とてもユニークなパンである。生地の薄い部分では軽くパリパリとした食感を、一方で下部の比較的生地が厚くなったところでは、しっとりとしたモチモチ感を楽しむことができる。ココナッツミルクの優しい甘みが素朴ながらもクセになる魅力を持ち、半熟玉子がまるごと載せられたエッグ・ホッパーは、さらなるまろやかさを口の中に広げる。ココナッツやカレーリーフで作られたフレークと、あるいは各種カレーとともに味わって頂きたい。スリランカからやって来た新発見のオススメ品である。Great

真打の登場というべきか、インドと同じく、スリランカ料理と言えばやはりカレーであろう。海に囲まれた島国であるスリランカでは魚を用いたカレーが好まれるという。これは魚好きの日本人にとっても嬉しいお知らせ。躊躇することなくFish Curry ($12.90)がチョイスされた。ここでインド訪問歴5回を誇る隊長より、「カレーは本場の流儀に従って食べなきゃダメですよぉ」との提案があり、カレーはスプーンやフォークを使わず、手でいただくことに。Spanish mackerel(サワラ)の大きな切り身が丸ごと入ったカレーは、魚の風味が優しく香るさっぱり目の味付けでライスによく合う。また、スプーンなどの器具を使わず、手で直接口に運ぶと、心なしか味わいも変わってくるように思える。ちなみに手でカレーを食すときの正しいやり方は、“親指以外の4本の指に載せて、親指をスライドさせるようにして指先で口の中に押しこむ”というものだ。ぜひ、一度お試しいただきたい。

最後を締めるディッシュもやはりカレー。Chettinad ($14.90)は、スリランカ近くに位置する南インドのチェティナードという地域の名物チキンカレーである。ココナッツミルクがふんだんに使われているため、口当たりがとてもマイルドで、またコクがある。じっくりと煮込まれた鶏肉は絶品で、実にやわらかく、ふわふわとした噛み心地とともに旨みを放出する。先に紹介したティッカもそうであったが、新鮮な鶏肉を使ってしっかりとした調理を施しているのがよくわかる。また、辛さ抑え目であるこのチキンカレーは、日本人の嗜好にもよく合うはず。「これだったら新宿の中村屋でも出せますよぉ」とエキサイトする隊長の言葉がそのことを証明している。老舗の名店も唸るオススメ品の誕生である。

この度のスウィーツには、スリランカで人気のFaluda ($5.00)という飲み物をチョイス。タピオカの食感と混ざり合うローズミルクの芳香がゴージャス感さえ漂わせる華美な味わいだ。女性隊員からの圧倒的な支持を得ていたファルーダ、ぜひ男性から女性にお勧めしてみてほしい。とここで、当店オーナーより食べ歩き隊に甘いプレゼントが差し出された。本来は非売品であり、スタッフたちだけの楽しみとして作られているBuffalo Yoghurt with Treacle honey ($5)である。バッファローのヨーグルトに、ハニーシロップがかけられたシンプルなデザートながら、そのあっさりとした酸味と甘みのハーモニーは一度試してみる価値あり。チアーズ読者だけに特別に提供してくれるということなので、ぜひオーダーしてみてほしい。 Great

当店オーナーが頑なに守ってきた食へのこだわりが信頼を築き、3号店出店にまで至る人気へと繋がってきた「KAMMADHENU」。そんなお店で働くスタッフはフレンドリーで、常に笑顔でお客をケアしてくれる。ニュートラルベイ店の特徴は、バーやガーデン、ライブ演奏を行うファンクションルームなどが一緒になった複合施設であるということ。友達とのお食事にも、恋人たちの時間にも最適な空間となってくれるだろう。また、たったの7.5ドルで“オントレ、スープ、カレー、デザート”を満喫することができる、まさにチープイートな「ランチセット」もぜひ利用してみてほしい。


KAMMADHENU
12 Waters Rd, Neutral Bay
02 9953 9999
OPEN 7days 12 :00pm – 12:00am
BYO wine only ($3 per person)
ウィンヤード駅前のバス乗り場より243、245、247等のバスを利用し、ニュートラルベイ・ジャンクションにて下車。徒歩5分。


K隊員のワイン談義

SINHA LAGER
India
$7
世界に知られたスリランカ産のライオンビールです。あっさりしていて飲みやすく、暑い季節にはよいでしょう。1881年創業という長い歴史は嘘をつきませんね。

SADDlEBACK
Pinot Gris
2008
Central Otago
NZ / $23
世界最南端のワイン産地、オタゴで作られたピノ・グリです。非常にクリスピーな味わいなので、カレーにもよく合うでしょう。オタゴ産ワインならではですね。

DIMBULLA
Tempranillo
2007
Hunter valley
NSW / $20
テンプラニーリョはクセのないのが特徴ですが、これはスリランカ人が経営するワイナリーのものということで甘く変えられていますね。甘さゆえにカレーに負けず、グッドマッチでした。

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

Enmoreで味わうトルコ料理の奥深さ「SULTAN`S TABLE」 Enmore

2009年09月04日 9:05 | ヨーロピアン

簡単にテイクアウェイできることから、ファストフードとして人気のケバブ。日本人も頻繁に利用していると思うが、フランス料理、中華料理と並び、世界三大料理に数えられるトルコ料理の奥は深く、ケバブだけで満足しているのはもったいないことだと言える。未だ見ぬトルコ料理の真髄を食べ歩き隊が追う。


今回、我々が向かったのは、様々な人種が集まることにより、多種多様なお店が展開するEnmore。シドニー大学が近いことから学生街という側面も持ち、刺激的な雰囲気でいっぱいの街だ。そんなEnmore で5年前に営業を開始した『SULTAN`S TABLE』には、トルコ人はもとよりあらゆる人種が連日通い詰めており、この日も平日の夜でありながら店内は満席状態。隊員たちは期待に胸を高鳴らせながら入店していった。

隊員たちへ最初に運ばれてきたのは、トルコでオントレとして供されるLarge Mixed Dip ($19.00)。それぞれにビートルート、スピナッチ、パセリ、キャロット、スモーク・エッグプラント、キューカンバ、ひよこ豆を用いた8種の色鮮やかなペーストを焼きたてのターキッシュ・ブレッドとともにいただく。彩り同様に新鮮な味わいのベジ・ペーストは、サクサクのブレッドの上に乗りながらさっぱりとした甘さと香りを口内に広げ、それぞれの野菜の旨みをしっかりと味あわせてくれる。現在では、ペーストをブレッドやクラッカーと一緒に味わうスタイルは国を問わずに楽しまれているが、店主によるとルーツはトルコの前身であるオスマン帝国であるという。オスマン帝国が遠くはオーストリアまで進出していったときに広く各地に浸透していったものとのこと。このようにトルコ料理は、ヨーロッパから中近東、北アフリカに至るまで強い影響を残している。長い歴史を持つ同ディップ・セットもまた、誰にでも愛され、病みつきになる魅力を持っている。

当店では各種グリル料理がメニューに並んでいるのだが、欲張りな隊員たちはそれらがセットになったMixed Grill ($24.00)をオーダー。Lavash breadという薄くモチモチとした白い生地の下には、ラム、チキン、そしてアダナ(Adana)というグリルが香ばしい匂いを漂わせながら隠れている。それぞれの肉は、スパイスやハーブとともに一晩マリネしてから炙り焼きされており、やわらかく、実に香り高い。風味を失わぬよう薄めのマリネにするよう気をつけているとのことで、溢れ出る肉汁には素材自体の旨みが損なわれることなく、ギュッと詰まっている。アダナは、つくね状になったラムの肉団子。マリネでクセが取り除かれているのはもとより、ヤマグチ隊長の「オーストラリアに臭いラム肉はない!」という言葉が証明するように、この国のラムは日本人にも好まれることが多いので、ぜひトライしていただきたい。第3の公募隊員、ワーホリ・メーカーのEさんは、「とにかく肉がめちゃくちゃやわらかい。色んな味を試すことができるところもいいですね!」と大絶賛。ここに記念すべき本日1つめのオススメ品が誕生した。
Great!

Pide(ピデ)もまたケバブ同様に手軽なテイクアウェイ・フードとして店頭に並んでいるのを目にすることが多い。スピナッチ、ベジタブルなど数種類ある中から、隊員たちが選んだChicken Pide ($13.00)は、こんがり焼かれた生地に豊富な具がたっぷりと詰まった本格派な佇まい。当店の手作り生地はカリっと焼き上げられ、食感はサックサク。中では、チキンにフェタ、ハルーミ、テイスティの3種のチーズ、それにスピナッチ、マッシュルーム、オニオン、トマト、パセリが一体となってトロリと溶け合っている。隊長に言わせれば、絶妙なチーズの溶かし方はイタリアン・ピザを超えたということになる。また、巧みに空気を含ませ、ふっくらと仕上げられた生地は、海外リタイアセレブA隊員に言わせれば、“スカホク感”と形容できるものであり、食すものにふわふわとした幸福感を与えてくれる。そこらのピデとはひと味もふた味も違う絶品ピデは、文句なしでオススメに認定された。 Great!

Guvec ($13.00)はトルコ式のシチュー。Clay Potという土鍋式の器をオーブンに入れ、じっくりと煮込まれたサイコロ状のラム肉、ナスやキャロットなどの野菜はどこまでもやわらかく、口の中でやさしく崩れながら旨みを放出していく。ベースとなる味付けは、トマトソースに様々なスパイスを加えたもの。具材から染み出たエキスとトマトの酸味が心地よく舌に絡みついてくる。「料理ひとつ一つがしっかりと調理されている」と感心する大学教授Kは続けて、「地味なようですが、それぞれの料理に添いつけられている自家製のブレッドが焼き立てということもあって実に美味しく、また料理にとても合う。このシチューとの相性も抜群です!」と満足げな表情を見せる。その隣で「オススメ宣言をしたいが、それでは全品オススメになってしまう…」と心苦しそうにこらえる隊長の姿が印象的であった。

代表的なケバブのひとつに挙げられるIskender Kebab ($13.00)。薄切りのラム肉に、トルコでは調味料として使われるヨーグルトと、オレガノやパプリカ、ガーリック、トマトなどを合わせて作った自家製レッドソースがかけられている。もうひとつの特徴は、肉とソースの下にターキッシュ・ブレッドが敷き詰められていること。サクサク感が特徴のターキッシュ・ブレッドだが、ここでは2種のソースと肉汁をジュワっと吸いこむことで複雑な旨みをたっぷりと含み、なんとも味わい深いものへと変貌している。薄くスライスされたラム肉は淡白な味わいが、日本人にとってはまるで、すき焼きを思い起こさせるようでよく口に合う。存在感のあるコク深いレッドソースはヨーグルトと混ざり合い、マイルドな風味を演出。よく知られているように思うケバブだが、これらすべての要素がひとつになった瞬間には、未知の味とも言える新境地を体験させてくれる。食事中もゴルフのことが頭から離れない隊長は、「これは本日のショット・オブ・ザ・デイだね!」とゴルフ風の言い回しで粋にオススメ宣言をした。 Great!

トルコはもちろん、中東からバルカン半島、北アフリカまでの広い範囲で食べられるデザートであるBaklava ($2.50)。紙のように薄い生地をミルフィーユのように重ね合わせながら、間にバターを塗り、ナッツをのせ、オーブンで焼いた後にシロップをたっぷりとかけるバクラヴァはとても甘く、濃厚な味のお菓子である。それだけにトルコではエナジーフードとしても重宝されるというが、日本人にとっては若干甘すぎの感があるのも確か。そこでその甘みを受けるのに最適なのがTurkish Coffee ($8)。コーヒー豆の粉末を直接、水に加えて煮立て、濾さずに飲むトルコ・コーヒーは独特の苦味とクセを持つが、それだけにトルコの甘いお菓子とは相性が良く、さっぱりとした後味を残してくれる。ただ、粉末を一緒に飲んでしまうと、ザラザラと不快な舌触りがあるので、上澄みの部分だけを味わうように注意して飲んでいただきたい。トルコではコーヒーカップの底に残った粉末をソーサーに返し、その形状で運勢占いができると信じられているという。実際に、店内にいた女性客のひとりが真剣な表情でその“コーヒー占い”を行い、周囲の友人にアドバイスを送る光景が見られた。もしも当店でコーヒー占い師に出会うことがあったなら、一度、自らの運勢を尋ねてみるのもよいのではないだろうか。
※(コーヒー占いの写真掲載)

25年以上にわたってシドニー飲食界の変遷を見守ってきたヤマグチ隊長が言うように、エスニック料理全体のレベルは一昔前と比べてずっと高くなっている。その中でもSULTAN`S TABLEは、非常にリーズナブルな値段設定から考えても、まぎれなくベスト・レストランのひとつといえる。一度、日本に帰ってしまうと容易には味わえないトルコ料理。シティからすぐの距離にあり、独特の文化を形作るEnmoreで、このとびきり美味しいトルコ料理をぜひ味わってみてほしい。


SULTAN`S TABLE
179 Enmore Road, Enmore NSW
02 9557 0229
OPEN 7days 11 :00am – 11:00pm
BYO (No Charge)
タウンホール駅よりBankstown Lineを利用し、ニュータウン駅下車。徒歩10分。


ソムリエK隊員のワイン談義

Logan
Chardonnay
2008
Orange, NSW
$25
トルコ料理ということで肉料理がメインになるとの予想から、白には濃い目のシャルドネをセレクトしました。ただ、クールな気候であるOrangeのシャルドネは同時にとてもさわやか。ディップやチキンによく合うはずです。

Fox Creek
Shiraz
2008
Mclaren Vale, SA
$20
しっかりとした味を持つラム肉には、やはり赤ワインでしょう。濃い目のシラーズ、特にMclaren Valeのものは濃い味わいが特徴なので最適だと思います。ポップなラベルですが、中身は本格派な1本ですよ。

YENI RAKI
Turky
$45
トルコの国産蒸留酒であるラクは、アルコール度数が45%もある強いお酒で、水と混ざると白く濁るのが特徴です。アニスで香り付けされており、ギリシアのウーゾによく似ています。飲み過ぎにはご注意を。

※値段はお取り扱いのお店により異なります。

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

Lidcombeで知ったフィリピン料理の魅力「Bahay Kubo」 Lidcombe

2009年08月04日 9:15 | アジアン

この度、食べ歩き隊が狙いをつけたのはフィリピン料理。タイやチャイニーズ・レストランは数え切れないほど存在するシドニーだが、フィリピン料理となるとどうであろうか? 飽くなき探究心を持つ食べ歩き隊が美味しい調査へと乗り出した。

Bahay Kubo
36 Railway St, Lidcombe
02 9649 7939
OPEN 7days 11:30am-9pm
BYO
Wine $5 per bottle
Beer $2 per person

多様な文化が混在するシドニーにおいても、味わう機会の少ないように思うフィリピン料理。以前はシティにも数件のフィリピン・レストランがあったといい、ヤマグチ隊長もよく利用していたというが、残念ながらそれらのお店はすでに姿を消してしまっている。オーストラリアではなぜか今ひとつ浸透しないフィリピン料理だが、隊長に言わせると「実はとっても美味しい!」のだという。そんなフィリピン料理を求めて向かった先はLidcombe。郊外まで足を延ばすことになるが、レストランは駅の目の前という好立地にあった。

1品目からフィリピンの代表料理が運ばれてきた。一般家庭で好んで食べられるというAdobo ($13.00)は鶏肉や豚肉を、酢や醤油、ガーリック、ブラックペッパー、ローリエ(月桂樹の葉)など様々な調味料を用いた漬け汁にマリネしてじっくりと煮込んだ料理である。鶏と豚の2種類から食べ歩き隊がチョイスしたのは、鶏のAdobo。絶妙な配合により、見事に臭みが取り去られた鶏肉はとても風味高く、また実にやわらかく調理されている。鶏肉と煮汁をごはんの上に乗せていただくのが、フィリピンでのいわゆる“正しい食べ方”らしく、日本人としてもどんぶり感覚で豪快に食すのがなんとも心地よい。ちなみに“Adobo”という料理名は、スペイン語の「漬ける、マリネする」という意味の単語から取られているという。過去に統治を受けたことからスパニッシュの影響が残るというフィリピン料理の真髄をさっそく垣間見ることができたようだ。

次にオーダーしたCrispy Pata ($17.00)もフィリピンの名物料理。豚のすね肉がカリっと香ばしく揚げられていて、表面のパリッとした食感とコラーゲンを含んだやわらかい肉の旨みを同時に味わうことができる。醤油に酢とタマネギのみじん切りを合わせたソースは、クリスピーな豚肉にさっぱりとした風味を加えてくれる。何よりも隊員たちを感嘆させたのは、油を用いた見事なまでの揚げ具合。隊長が「こんなにパリッと食感のよい豚料理は食べたことがない!」と手放しで賞賛するこの一品には油っこさや、いやなべたつきが不思議なほどに感じられない。店主に聞くと、その秘訣は“揚げる前の段階で肉をやわらかくなるまで茹でる”というプロセスにあることがわかった。このテクニックによって、揚げ物でありながら飽きのこない“軽さ”が生み出されていたのだ。ボリュームいっぱいの盛り付けでありながら、骨だけ残して綺麗に食いつくされたモスト・クリスピーな豚肉は文句なしでオススメの認定を受けた。

3品目は日本の鍋にも通じる魚と野菜がたっぷり入ったスープ、Sinigang ($15.00)。フィリピンでは酸味の効いた料理が好まれるようで、このスープもまた酸っぱさが病みつきになりそうな魅力を持つ一品である。ここでの酸味のもとは酢ではなくタマリンドを、また出汁は鶏がらと魚醤を用いたもの。すまし汁のようにあっさりとした出汁に酸味が混ざって生まれる味わいは、初めてのものでありながら違和感なく体に染みこんでくる。具には、オクラ、ナス、シシトウ、チンゲン菜など盛りだくさんの野菜に、Milk fish(サバヒー)というフィリピンや台湾、インドネシアなどで食されるイワシやニシンに似た種の魚が用いられ、鍋を彩っている。フィリピン料理を語るときにこのスープは決して外すことのできないものである。しかしながら、実を言うとこの国民的料理をめぐっては隊員内で意見が真っ二つに割れてしまった。「とてもうまい。日本人の口にも合う」という肯定派と、「クセが強い。日本人向けではない」という否定派の2グループへと綺麗に分かれたのである。オススメ宣言をする勢いであった肯定派の隊長も、一部隊員たちからの思わぬ抵抗を受けてオススメを取り下げた。なんであれSinigangがフィリピン料理において、超がつくほどの人気メニューであることは確かである。是か、それとも非か。あとは皆さんに判断していただきたいと思う。

本日のメインディッシュとなったのはオックステール(牛尾)のピーナッツソース煮、Kare-Kare ($15.00)。見た目はカレーのようで、ご飯にかけて食べるのも同じなのだが、辛味などの刺激はなく、マイルドでやさしい味になっている。ピーナッツソースのほどよい甘さとともに、ナス、インゲン、白菜とコラーゲンたっぷりのトロトロのオックステールがじっくりと煮込まれている。自然な味わいのKare-Kareを賞味するときに忘れてはいけないのが、“バゴーン”というペースト状のアミの塩辛。濃厚な旨み成分がギュッと凝縮されたこのペーストをKare-Kareに合わせることで、素朴さに奥深い味わいが加わり、ご飯がいくらでも進む極上の一品が完成する。この深い味により、心の奥の深い部分をふいに開かれてしまったのは、30年以上も前ながら5年間フィリピンに滞在していたという海外リタイア隊員A。ノスタルジックな表情を見せながら、「そう、この味よ、この味。不思議と30年も前に食べたものの味は覚えているものなのね。最近は朝に何を食べたのかも忘れちゃうのに…」としみじみ語る。隣でそれを気まずそうに聞いていた隊長は、神妙な顔でオススメ宣言を出すほかになかったのであった。

デザートに選んだのは、日本でもコンビニなどで扱われて大人気のHalo-Halo ($5.50)。アイスクリーム、ゼリー、練乳、あずきなどがミックスされた南国フィリピン・スタイルのパフェである。Haloとはタガログ語で「混ざる」という意味。隊員たちはその名の通りにHalo-Halo を“混ぜ混ぜ”しながら、甘味の魅力が一体となった幸福感を堪能していく。特にあずきと練乳という完璧なコンビネーションがアイスクリームと溶け合って奏でるハーモニーには隊員たちから思わず歓喜の声が上がる。グルメでありながら、実は大の甘党でもある隊員たちは皆で声を合わせて「オススメ!」と元気に宣言した。

あまり情報のないままに臨んだ今回のフィリピン料理。グルメを自認する我が隊員たちでもその半分以上がフィリピン料理は初めてという状態であった。なぜオーストラリアにおいてメジャーな存在になりきれないのかはまた別の議論が必要となりそうだが、こと日本人の嗜好という部分においては自信を持ってオススメできるものだと思う。東南アジア特有の辛い味付けはあまり見られず、かと言って甘すぎることもなく、淡白でやさしい印象のものが多い。島国であるフィリピンはスペイン、中国、東南アジアなど、様々なエリアからの影響を受けながら形作られており、多文化的料理とも言える。ソイソース(醤油)が調味料としてしばしば使われるのも、日本食からの影響なのだという。アジアにおいて特有の食文化を持つフィリピンの料理をぜひ一度ご賞味いただきたい。フィリピンの方々はカラオケが大好きだということで、当店もレストランでありながらしっかりとカラオケ設備が備えられている。隊員たちがそれぞれの料理論を熱くぶつけ合う中、カラオケ好きの隊長は「待ちきれない!」とばかりにマイクを握り、フランク・シナトラの“マイウェイ”を熱唱し始めた。今宵も隊長は、誰よりも“我が道”を行っているのであった…。



ソムリエK隊員のワイン談義

Tatachilla
Sauvignon Blanc Semillon
Mclaren Vale SA
2008 $16.5
良い意味でお水のようにサラッとしていて、非常に飲みやすいですね。スターターとして最適と言えます。魚系とか軽めの料理に合わせてみてください。

Tulloch
Verdelho
Hunter Valley
2008 $17.5
ハンターバレーでも有数の名ワイナリーの作品です。白ワインでありながらもクリスピーな味わいがあるので、今回の食べ歩きで紹介したチキンやポークにもばっちり合いますよ。

Yarra Burn
Shiraz Viognier
Yarra Valley Victoria
2006 $24.95
すっきりとした甘さがあって、実になめらかですね。赤のShirazに白のViognierを数パーセントの割合で絶妙に混ぜ込むことによって、この飲み口が生まれるんですね。女性に勧めてあげたら、きっと喜ばれると思いますよ。

※値段はお取り扱いのお店により異なります。

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

エレガントに味わうベトナム料理「Phamish」 Darlinghurst

2009年06月09日 8:59 | アジアン

2002年にオープンして以来、Darlinghurstの超人気ベトナムレストランとして名を馳せてきた『phamish』。昨年9月には近くに移転しての新装開店をし、味、立地、衛生すべての面でパワーアップすることに成功した。さぁ、食べ歩き隊はこの度も“安くて、うまい”料理に出会うことができるのであろうか?

ベトナム料理にはマイルドな味付けが多いことから、日本人の口によく合うとされる。ベトナム料理というとフォーや生春巻きが連想されるが、実際にはシーフードから肉料理までそのレンジは幅広い。今回は食を進めるにつれてヤマグチ隊長の機嫌も上向き、追加オーダーが連発。最終的には10品ほどのディッシュを賞味したわけだが、その中から特に評判の良かった食べ歩き隊厳選メニューをご紹介したい。

当店は行列のできるレストランであり、また予約は取らない方針である。食べ歩き隊は6時の開店に合わせて早めに集合することで、長い行列にとらわれることなくスムーズに入店した。メニューはテーブルに置かれず、カウンターに出向いて直接オーダーをするというシステム。オーダーを考えている間にも早速、店内には食欲をそそるいい香りが充満してきた。前菜として最初にオーダーしたのは、Seasonal Vegetable Special ($15.50)。厚揚げ、サヤエンドウ、レンコン、スウィートコーン、キクラゲ、シメジという豊富な食材が塩味であっさりと炒められている。絶妙な火加減で調理された野菜の新鮮な食感や香りが、スターターとして最適なリズムを作るヘルシーで美味しい一品であった。

Crispy Blue Swimmer Crab Dumplings($12.00)はワタリガニの身とキクラゲ、スウィートコーンがたっぷりと詰まった揚げ餃子。ベトナムの魚醤ヌックマムにガーリックなどを加えて香り付けをしたソースに、カラッと揚がった衣をつけ、中に閉じこめられた深いコクを味わう。ここで誌面での公募から食べ歩き隊に合流してくれたワーホリ系新隊員Eに話を聞いてみた。「個人的にブルースイマークラブには生臭さを感じることがあって敬遠していたんですけど、揚げ餃子にするとそれがまったく感じられず純粋にカニの風味、それと野菜のコリコリとした食感を楽しむことができました。漁醤ソースとの相性も抜群ですね!」。この品は皆からの賞賛を受け、本日一発目のオススメ品となった。 オススメ

次のシーフード料理S.A. Snapper Fillet ($19.50)は、“House Special”というリストの中に見つけたお店側のオススメ品。肉厚でやわらかく、ふっくらした鯛の身をグレープフルーツ、トマト、香草などが囲み、爽やかなフレイバーを加えている。甘酸っぱく薄めの味付けは無駄なく、それでいて最大限に鯛の味わいを引き出しているようだ。“これ、いいねぇ”と切り出したヤマグチ隊長は、「ベトナムは19世紀から20世紀中頃にかけてフランスの統治を受けたことで食文化にもその影響が残っているんだよね。彩りよく盛りつけるところ、それとグレープフルーツやトマトなんかを料理に合わせるあたりもフレンチの影響かもね」と続ける。隊長が神妙な顔で“これ、いいねぇ”と言い放つとき、それがオススメを示していることは言うまでもない。 オススメ

続いて登場したのは当店のシグネチャーディッシュ、Duck and Prawn Pancakes (5peaces、$35.00)。ローストしたダック、プリプリのエビ、もやしや香草などの野菜を香ばしいパンケーキで包み、さらにそれを繊細な透明のライスペーパーで包むというボリュームたっぷり、アイデアいっぱいの料理だ。チリ入りのヌックマムにつけてかぶりつくと、豊富な食材がそれぞれに自己主張をしながら1つの巨大な旨みのハーモニーとなって、口いっぱい体いっぱいに広がる。もう1人の公募参加者、永住系新隊員Rに聞いてみた。「見た目からして独創的ですし、ダックとエビという組み合わせがとてもよくマッチしていますね。それとやはり香草と魚醤の使い方が上手ですよね」。この人気料理はオープンして1時間が過ぎた頃には早くも品切れとなり、メニューから取り除かれていた。100点満点のオススメ品である。オススメ

ソムリエK隊員が「ワインに合わせたい」と追加オーダーしたのはSesame Lamb Fillets ($18.50)。肉料理と相性のよい赤ワインを入手して、いても立ってもいられらくなったというわけだ。ラム嫌いの日本人を黙らすことのできるのがオーストラリアン・ラムの魅力。やはり一切の臭みを持たずに、あっさりとしながらもしっかりとしたコクを持っている。またこのラム肉は、Hoisinソースでマリネされており、薄めの味付けにほのかに香る甘さがたまらなくよい。「このラムは実にやわらかく、味にしつこさもない。なにより赤ワインに合うよねぇ」と大満足のK隊員であった。

最後を締めくくるのは世界中の皆が大好きなカレー、その名もVietnamese Curry(Prawn=$18.50、Chicken=$16.50)。カレーはベトナムでも人気の料理であるという。特徴としては辛さが抑え目で、クミンは使わず、シナモンを用いるとのことであった。見た目は表面が真っ赤で、燃える激辛カレーにも思えるのだが、実際はマイルドな辛みで日本のカレーに近いものがある。それでいて甘くなりすぎることもないので、日本人の口にはよく合うはずだ。またライムやレモングラス、香草といったベトナム料理特有の具材たちが、カレーの傍らでどこまでもさっぱりとした香味を生み出している。いつもより多く“オススメ”を披露した隊長は当レストランが心からお気に入りの様子で、「僕は“ハリウッド”でもベトナム・レストランには行ったんだけど、ここにはかなわないね!」と、さりげなく軽い自慢も交えながら最大級の称賛をして見せた。 オススメ

“phamish”は清潔さやお客への対応、上品で落ち着いた雰囲気などから、全体としてとても洗練された印象がある。本場ベトナムのローカル感は薄いが、それでも料理は本格的でどれも美味しい。値段は、激安とは言わないが料理の質を考えるとリーズナブルな設定と言えるだろう。隊長は「ベトナム料理に西洋人の嗜好を取り入れたフュージョン的スタイル」と形容したが、ウェイトレスからは「オーセンティックなベトナム料理」という答えが返ってきた。確かに客層は白人系オージー一色であり、メニューにはベトナム人が好むはずの豚肉料理が見当たらないなどという部分はあった。さて、真実はどちらにあるのか? どう感じるのかは、あなた自身の目と舌で判断していただきたい。


参加者募集に応募してくれた新隊員

ワーホリ系公募隊員E
「食べ歩き隊の皆さんからは食に対する熱意が感じられ、本当に食べることが好きな人たちの集まりなんだなぁ、と何かこっちまで嬉しくなりました。楽しい雰囲気のおかげでリラックスして(しすぎ?)、料理を満喫させていただきました!」

永住系公募隊員R
「最初は少し緊張していたのですが、隊長をはじめメンバーの方皆さま、気さくで、和気あいあいと素敵なひと時を過ごすことができました。料理&ワインのことはもちろん、幅広い分野で話題豊富な方ばかりで非常に楽しかったです」


ソムリエK隊員のワイン談義

Capel Vale
Verdelho
WA
2008
$19
クリスピーな風味に、ほどよい酸味があって、アントレに合わせるには最適だよ。ベトナム料理なら生春巻きなんかいいだろうね。濃い目の料理になるとこのワインの良さが消えちゃうから気をつけて。

MATAHIWI
Pinot Noir
2008
NZ
$22
実にコクがあって、味が濃いよねぇ。強すぎるんじゃないよ、コクが“あり”すぎるんだよ。わかるかなぁ、この感覚。チキンからビーフまで幅広くカバーできるはず。このピノ・ノワールは掘り出し物だね。

HOLLICK
Cabernet Sauvignon
Merlot
2005
Coonawarra, WA
$25
このワイナリーの経営者はイタリア系なんだよね。それだけあって、イタリア料理との相性は抜群だよ。メルローがカベルネ・ソーヴィニヨンをいい具合にやわらかくしてる。今回オーダーしたラムにもよくマッチしてたねぇ。
※値段はお取り扱いの店により異なります

K隊員はかく語りき
個人的には最後の“HOLLICK”のやつが良かったね。先日、クナワラでワイン巡りしてきて、“HOLLICK”にも足を運んだとこだったんだよ。客観的に言うと、今回のMVPは2本目のピノ・ノワールになるだろね。予想以上のクオリティに驚いたよ。懐が深くて、料理に合わせる場合の守備範囲が実に広いよね。でもやっぱり3本目のやつかなぁ。麗しのクナワラ一人旅、思い出すなぁ(目を細めながら)・・・。

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

ふるさとの味を伝える韓国家庭料理「JINGOGAE」 North Sydney

2009年03月11日 10:09 | アジアン

創業26年という長い歴史を持つノースシドニーの韓国レストラン『JINGOGAE
』。変わり続けるシドニーを見守りながら、変わらぬ良さを守り続けてきた。韓国レストランが点在するシティの喧騒から離れたこのお店は、閑静な場所で隠れ家のように、ひっそりと佇んでいた。

シティ中心部やイーストウッド、ストラスフィールドなど、韓国レストランが集中する地域は多いが、今回食べ歩き隊が訪れたのはノースシドニー。アジア系レストラン自体決して多くないこの街にあるJINGOGAEは、知るひとぞ知る老舗レストランだ。そしてここで言う“知るひと”とはもちろん我らがヤマグチ隊長である。20年以上も前、隊長が若りしころに通ったという思い出のレストランというわけだ。今回はさらに、韓国在住4年という経験を持つ韓国通S隊員にも加わっていただき、チープな極上グルメを皆で語り合った。

店内奥のガーデンに席を確保した食べ歩き隊は早くもまったりモード。このお店が醸し出す“なごみ”な雰囲気が自然と皆をリラックスさせているようだ。そんな隊員たちが一品目に選んだのは、韓国惣菜の定番であり、前菜として最適なチャプチェ($8)。この料理には、唐麺(タンミョン)というさつまいものでんぷんで作られた春雨が使われる。日本で食べられる春雨よりも太く、もっちりとした食感で食べ応えも十分だ。褐色になるよう調理されるチャプチェだが、このお店のものは色合いが薄く、春雨の透明感が際立つ仕上がりになっている。同様に味もまたさっぱりとして、やさしいものだ。これに人一倍大きく反応したのが、ヤマグチ隊長。「これだよ、これ!ここは昔から薄口でさっぱりした味付けだったんだよね。いや、変わってないなぁ」とタイムスリップしたように青年ヤマグチに戻って目を輝かせた。野菜もたっぷり入ったチャプチェは、思い出を抜きにしても、全隊員が認める美味しさであった。

お次はお酒のお供に最高の一品であるユッケ($18)を頂くことに。言うまでもなく日本でも広く浸透していて、人気の高い韓国料理である。松の実と卵の黄身が載せられたユッケは、惜しみなくたっぷりと盛り付けられていて、まずはボリュームで納得。生の牛肉を漬けこむ特製ダレの製法は企業秘密だというが、ゴマ油、コチュジャン、胡麻などを調合したものと思われる。しっかりと味が染みこんでいながら、辛さやくどさの一切ない風味は、これまたさっぱりとしていて、隊員たちから賞賛の声が上がった。数人で訪れたときに、是非一皿オーダーしておきたい一品だ。

デジコギ($12)は、豚の焼肉定食的な料理。やわらかい豚肉は甘辛な味付で、とにかくご飯が進む。しつこさのない甘い香りは、辛さを特徴とする韓国料理ではあまりお目にかかれないものに思えるが、その味付けの正体はなんと、とんかつソースとトマトケチャップ。韓国通のS隊員によると、韓国では料理に洋食風のテイストを加えるときにこの2つをよく使うのだという。店主が“ホームメードソース”と表現したこの味は、つまり伝統的なという意味ではなく、現代の韓国の家庭風ソースというわけだ。“韓国の”と表現したが、この味付けは日本人にとっても“古き良き洋食”としていまだに愛されているものだ。このソースで調理する場合は、牛肉もよいが、やはり豚肉こそベストマッチという気がする。意外と豚肉を食す機会の少ないシドニーだからこそ、皆さんにも是非味わっていただきたい。S隊員によると、ユッケ、ブルコギなど牛肉のイメージが強い韓国だが、実際に家庭で消費されるのは豚が主流なのだという。特に、決して物が豊富ではなかった一昔前の韓国では、牛肉は一般家庭で簡単に消費できるものではなかったようだ。そんなコリアン・エキスパートS隊員による説得力のあるうんちくを目の当たりにし、さすがに今回ばかりはぐうの音も出ないとばかりにただ頷きながら、「オススメ」とつぶやいた隊長であった。

滋養強壮に良いとされるサムゲタン($25)は、隊長が風邪を引いたときに栄養食として食べている料理だという。若鶏を一匹丸ごと使い、おなかに高麗人参やもち米などを入れてじっくり煮て調理されるものだ。調理とは言っても、基本的に味付けは行われず、鶏肉自体から出た旨味や一緒に煮込んだ栗の甘味など、自然の出汁がベースとなっている。それぞれの好みに合わせて、別の小皿に盛られた塩と胡椒を振って味を調整するのだが、やさしくも実に奥深いコクを持つこの品はそのままでも十分過ぎるほどに味わいがある。薄口の日本人には特に好まれる風味であろう。簡単に骨からほぐれる鶏肉はとてもやわらかく、粥状になったお米とともに口の中に旨味を放出する。S隊員によると、どこまでも深いこの味わいを出すため、鶏肉や栗の他にもナツメやアケビの実など様々な材料が隠し味として使われるのだという。天然系女性隊員Dr.Oの「へぇ、ナツミやアケミがねぇ」というボケとも本気とも取れる発言にも動じることなく、大きな高麗人参を丸ごと飲み込んだ隊長は、満足そうにオススメを宣言した。

S隊員が「ちょっと変わったネンミョン(冷麺)はどうですか?」と提案し、紹介してくれたのはビビン・ネンミョン($15。ランチタイムのみ)。ムル・ネンミョンと呼ばれる一般的な冷麺とは違い、スープのないタイプの冷麺である。コチュジャン、ゴマ油、酢などを合わせて作ったピリ辛ソースとキュウリ、ナシの甘味を麺に絡ませてすすり上げると、心地よい刺激がさらに食欲を増すようだ。小麦粉を原料とする日本の冷麺とは違い、本場韓国のものは小麦粉を原料としており、固すぎることなく、しこしこと程よい歯応えを堪能できるのが特徴だ。冷やし中華感覚で何度でも食べたくなる!という声が続出したこのスープなし冷麺も堂々のオススメ入りが決定した。

締めとして隊員がリクエストしたのはメウンタン・ジョンゴル($30)。魚、タコ、イカ、エビなどの海鮮に、卵や野菜、豆腐もたっぷりと入った迫力満点のチゲである。そして豪快でありながら、大味にならないところが韓国チゲの不思議な魅力。豊富な具材から溢れ出たエキスが、お互いを高めあい、旨味の集合体となって口いっぱいに広がる。皆で鍋をつつき合って具を完食すると、今度はS隊員が麺だけをオーダー。韓国では鍋の後、残ったスープに麺やご飯を入れて、もう一品楽しみのが基本だという。運ばれてきた日本式のそうめんを出汁の効いたスープに入れてツルツルといただき、これでもかとばかりにチゲを満喫。そして隊長の「絶対、オススメ!」という甲高い声が響いた。

全6品を食べ終えたS隊員は、「ここは何がすごいって、まったくオーストラリア色に染まってないところがすごい!韓国の家庭料理の美味しさがそのまま再現されている。シドニーに良い韓国レストランはいくつかあるけど、この味に再会できたのはここが初めてです」と嬉しそうに語る。またセレブ系A隊員は「アットホームでいいわぁ」と、ソムリエK隊員は「昭和チックで落ち着くなぁ」と話し、皆が心から癒されている様子であった。オーナーによると、来客の割合は韓国人よりも日本人のほうが多いとのことで、それにも妙に納得させられるものがあった。この日は特にご機嫌であった隊員たち。Dr.Oの「ヨン様のおうちに招待されたら、こんな感じよね!」という的を射ているようで、そうでもない発言にも、全隊員が笑顔で頷いてしまうほど、和気あいあいと素敵な夜は更けていったのであった。


ソムリエK隊員のワイン談義

Logan
Weemala
Pinot Gris
2008
$14.99
ピノグリは甘すぎるっていう印象があったんだけど、これはドライな感じもあってよかったね。オレンジ産のやつで、しっかり作られているっていうのが伝わってきた。こんなに美味しいとは知らなかったよ。

Zilzie
Victoria
Merlot
2007
$16.99
まろやかでいて、軽やかに甘い。といっても薄いというわけではなくて、味はしっかりしている。女性隊員に大人気だったから、“女山”って命名させてもらったよ。

Bay of Apostles
Coonawara
Cabernet sauvignon
2008
$17.99
これはドライな魅力がいっぱいで、男性隊員に人気だったから、“男山”と名付けてみたよ。この辛さがいいんだよね。辛い分、韓国料理にも違和感なくマッチすると思うよ。


K隊員はかく語りき
今回は韓国料理に負けないワインを、って視点でチョイスしたよ。つまり白ならピノグリ、シャルドネ。赤ならメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンだよね。とは言ってもワインで料理に勝とうとしてもだめなんだよ。それぞれを活かすには、対等な関係でいるのが理想的なんだ。それで初めて1+1が3にも4にもなるってわけ。お互いがお互いを求め合っているというわけだね。いい話じゃないかぁ(しみじみと)。

※この記事は、シドニー生活情報誌"チアーズ"に掲載されてます。

(1) 2 3 »